栂池自然園は1900mもの高度を持つ湿原であるが、ロープウエーとゴンドラリフトを使って、誰でも容易にアクセスでき、高山の植物を楽しめる。例年、7月中旬から下旬にかけては、この湿原が広くコバイケイソウの花で覆われる。コバイケイソウの花は高さ1mほどの分岐した花軸にびっしりと白い6弁の花を付けるので、小塔が湿原のあちこちに立ち上がったように見える。大型の緑の葉の間から沢山の白い花が突き出るさまは見事である。6弁に見えるのは実は花被片で、下の写真のように、花の雄蘂は花被片より長く突き出てよく目立つ。 似た花にバイケイソウがあるが、花軸の分岐が多く、主軸に付く花の数も少ないので、分厚い塔のように見えるコバイケイソウとは区別できる。また、雄蘂の長さも花被片よりかなり短い。 学名はVeratrum stamineumで、ユリ科シュロソウ属の多年草である。北海道・本州中部以北の高山の湿地に生育する。 |