サラノキ(沙羅の木)は仏教の3大聖樹の一つである。3大聖樹は、お釈迦様がその下で生誕されたムユウジュ(無憂樹)、悟りを開かれたインドボダイジュ(菩提樹)、そして、その木の下で入滅されたサラノキとされている。日本では、サラノキはナツツバキと、インドボダイジュはボダイジュと混同されて、よく寺院に植えられているが、本物の木は熱帯・亜熱帯性の巨木である。 サラノキは、京都植物園を初め、新宿御苑(ヤシ室)、小石川植物園など各地の植物園の温室に、仏教ゆかりの木として植えられているが、これまでに花が咲いた例はなかった。ところが、2003年5月に滋賀県の水生植物公園の温室で初めての花が開いた。私も、滅多にない機会と駆けつけて写真を撮った。巨木になるという割には花は小さく、15mm程度の大きさに過ぎない。高い梢にあると、立派な望遠レンズがない限り写すことは出来ないだろう。幸い、水生植物公園のものはまだ若木で下の方にも花があったのでマクロで写すことが出来た。花弁の形が独特で、かつて週刊朝日百科「植物の世界」78号で写真を見たときは、本当にこんな花があるのかと訝っていたが、実物を見て納得した。 学名はShorea robustaで、フタバガキ科です。インド原産と言われている。 |