ヤエヤマヒルギ−八重山漂木 (2000.6.24)
 Rhizophora mucronata


 八重山郡島のマングローブを代表する木である。マングローブとは、 海水と淡水の混じる、潮の干満のある所に生育する木の総称で、代表的なものは オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギであるが、これ以外にも幾つかの木が含まれる (最下段を参照)。
 ヤエヤマヒルギはその根に特徴があり、 いかにも潮の流れに抗して立っている風情がある。典型的な胎生種子で、写真の 丸い部分の種子から親木に付いたままで成長して下に伸び、20-40cmの長さになると 落下して、泥土に突き刺さり、成長を続ける。
 ちょうど花の時期で、幾つかの花を写すことが出来た。 4枚は花弁で残りの4枚が萼である。
 学名はRhizophora mucronataで、ヒルギ科ヤエヤマヒルギ属で、沖縄、 東南アジア、オーストラリア、東アフリカに広く分布する。

5−7月は花の季節です


支柱根が、上手に水面上に木を支えています


種子から胎生の苗が下方に伸びて落下を待ちます。   花弁と萼が4枚ずつです


西表島の仲間川−両岸は全て、ヒルギを中心とするマングローブの森

マングローブとは
 「マングローブ」は熱帯・亜熱帯の海岸や河口に育ち、 塩分のある水を摂取して利用することが出来る植物群です。 ヤエヤマヒルギのように根で塩分を取り除くものや、 葉から塩分を排出するものもあります。
 日本には鹿児島県以南に生育し、ヤエヤマヒルギ、オヒルギ、 メヒルギ、ヒルギダマシ、ヒルギモドキ、マヤブシキ、ニッパヤシ の7種が自生します。
 根に特徴があり、ヤエヤマヒルギのような支柱根、オヒルギのように 地中から膝のように首を出す膝根、ヒルギダマシのように地中から 沢山の細い根が枝のように立ち上がった通気根などが見られます。
 また、種が海水に流されないように、親木で成長してから泥に突き刺さる工夫をした 胎生種子(ヤエヤマヒルギ)や、少しだけ成長してから落下する 半胎生種子(ヒルギダマシ)などがあります。
 昔は、熱帯・亜熱帯の海岸はマングローブの緑で覆われていましたが、 海浜の開発に伴ってその面積が次第に減少しています。 特に東アジアでの減少は著しく、危機感が持たれています。 マングローブの森を守り育てようという運動も 次第に拡がりを見せています。


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