フウは気持ちの良い木である。伸び伸びと育った夏の葉は鮮やかな緑で、形も美しい。そして秋の紅葉もまた、目が醒めるような色を演出してくれる。京都府立植物園のアジサイ園の所に、大きなフウの木があって一年中人々を楽しませている。今日は、その一年を追ってみよう。 春4月から5月は、若葉が次々と育ってくる。写真のように最初は紫色をしていることが多い。ひげのようなものは、花の出来始めか? 6−9月は、3裂した綺麗な葉が青々と木を覆う。実も大きく育ってくる。青年から壮年の凛々しさや美しさを感じさせるフウの木の最盛期である。10月に入ると、少しずつ紅葉が始まり、11月中旬の紅葉は、それは見事なものだ。...そして12月、さしもの鮮やかだった紅葉もくすみ、次々と落葉が始まる。木枯らしとともに、葉をすっかり落とした木には、鈴のような実がまだしっかりと残っている。2月にはやがて、実も色を失い、春の新しい息吹と共に地面に落ち、世代を交代していく。 学名は、Liquidambar formosanaでマンサク科フウ属である。Liquidambarは「液体の琥珀」の意で、樹皮から香りの良い樹脂が採れることによる。中国東南部から台湾にかけてが原産地。 |