北海道七飯町の「旧三嶋神社のイチョウ」 (2003.9.4、西村さん)


 今回は、いずれも樹種の中では北海道で最大の3本の木の紹介となる。まずは、西村さんの説明文で「旧三嶋神社のイチョウ」から始めよう。
**************************************************************
  函館の帰り、七飯町役場で道を教えてもらう。七飯中学のすぐ上、町営住宅の横に見事な大木が聳えている。側らによると、まるで壁。巨大だ。それもそのはず、道内一番の大イチョウである。
 文献によると、所有者:七飯町 幹周630cm 樹高28m 樹齢400年以上(推定)。旧三嶋神社のイチョウと呼ばれているらしい。三嶋神社は天文元年(1532)の草創とされていて、社殿は明治31年に炎上焼失するまでこの地にあったとのこと。当時の境内にこのイチョウはあります。神社に見放されたにも拘わらず、すごく元気な大木です。
 数m離れた弟分のイチョウとともに木の柵に囲まれています。根本には山椒の木が2本、1mほどに育っている。少し離れて牛馬之碑と書かれた石標が立っています。開拓当時の 名残でしょう。アスファルトの簡易舗装は根本から3、4mのところまで迫っています。しかし住宅地の大木としては環境は恵まれている方と思います。大木の10m程のところには民家があり、日当たりや落ち葉の苦情が出ていないか心配です。メスの木で、まだ若い実がいっぱい落ちていました。下校途中の小学生の女の子に聞いたところ、毎年銀杏を拾って食べているとのこと。ちょっとびっくりしたのは、小学生の男の子が、通りがかりに木に向かって拝んでいたことです。最近の子がこういう行動をするのは珍しい光景です。近隣の人たちに敬われ、親しまれている証拠でしょう。七飯町にはこの他に幹周8.6mの大トチノキや600年の一本栗などがあり、大木を敬う習慣があるのかも知れません。
 イチョウは高さ6,7mの辺りからは何本にも枝分かれし、その一本一本が太く逞しく、そこから上はまるで森です、太枝の競演です。また、その辺りからは垂乳根が何本か下がっているのが見えます。いやすごい大木です。いつまでも近隣に親しまれ、大切にされることを願います。
 七飯町役場から徒歩10分ほど。
***********************************************************
 JR函舘本線の七飯駅で降りて、広い道を東北東に600m程歩くと国道5号線に出るので左折し、5号線に沿って500m歩いて右折、左手に町役場がある。ここからほぼ北に500mのところが七飯中学校である。



木々のリストへ戻る