秋田県象潟(きさかた)町の「あがりこ大王」 (2011.8.15、畠山さん)


 千葉大学西川研究室の特別研究員であった畠山さん(現日本大学文理学部)から、秋田県にある日本最大級のブナの巨木の写真を頂いた。「あがりこ大王」である。
 「あがりこ」とは、ブナの木を根元近くから伐採した後に、新しい枝が出て育ったものを指す。「上がってくる子ども」の意であろうか。京都北山の「台杉」に似ている。そのため、真っ直ぐに上に向かって単幹が伸びる天然のブナに比べると、複雑な形をしている。
 最初の写真は「あがりこ」の中でも最大のもので、「あがりこ大王」の名をもらっている。幹周 7.62m、樹高 25m、樹齢は300年以上とされ、日本の「森の巨人たち100選」の一つに数えられている。その下は「燭台」と呼ばれるブナの巨木で、水平に出た太い幹から上に向かって数本の巨幹が伸びる。なお、この付近は鳥海山の雪解け水が豊富で、澄んだ綺麗な水が流れているが、その中に育つ「鳥海まりも」を見ることも出来る。最下段がその写真である。
 あがりこ大王は鳥海山の北麓、にかほ市象潟町横岡の中島台レクレーションの森の中にある。残念ながらレクレーションの森には車で行くしかない。羽越本線に沿った国道7号線(奥州浜街道)を象潟駅の南の汐見町で東折して国道58号線に入る。後は58号線に沿って東南東に15km程度走ると、レクレーションの森である。鳥海山を満喫したい方は、羽越本線の吹浦から鳥海山に登っていく「鳥海ブルーライン」経由で、終点の象潟町小滝まで走り、ここから58号線に入ればよい。
 レクレーションの森の駐車場からは、南に向かうハイキングコースがある。よく案内板を見ておこう。15分ほど歩いて川を渡り、さらに20分ほど歩くとあがりこ大王と獅子ケ鼻湿原への分岐点に出る。案内標に従って左にコースをとると、終点にあがりこ大王が控えている。獅子ケ鼻湿原の方に行けば、清流と鳥海マリモを見ることが出来る。このハイキングコースは、雪のない5月中旬−10月末に行くのがよい。また、熊ベルなども持っていく方がよいかも知れない。









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